願力と共にあらんことを
新たな汎用エネルギー「願力」の導入開始に関する告知。願力の性質についての説明も添えられている。
願力と共にあらんことを
新エネルギー導入に関する公示
琥珀紀2158紀、(千)30███510号文
高度な専門性を有する特異な人材の誘致に伴い、本日より「願力」を千星シティの基礎エネルギー供給に組み込むものとする。願力は生体に携帯された状態で、都市全域の量子空域へ充填される。
「千星シティ工程安全契約」に基づき、当該エネルギーの基本的な発生原理および相互作用の仕組みについて、以下の通り公示する。
「願力」は、「愉悦」に関わる世界「二相楽園」に由来する特殊エネルギーであり、物質態と情報態の中間に位置する性質を持つ。二相楽園に固有の種族である「幻造種」は願力から生まれ、このエネルギーによって存在を維持している。
当社関連部門は、二相楽園の経済生態を調査したうえで、同種族の能力的価値を高く評価し、千星シティへの導入を進めてきた。これにあたり、技術開発部首席のアポリ女史の主導のもと、生命科学研究院のチームは、願力の源である「幻造の月」の特性を疑似的に再現する生産・維持ラインを開発。最初の願力凝集体、通称「初」の再現に成功した。
「願力」は、複数の状態を取りうる循環型資源である。生理活動の維持に使用される際も、いわゆる「消費」は発生しない。活性状態から不活性状態へ移行するのみであり、回収および再賦活を行うことで再利用が可能となる。
失活した願力を再賦活する方法は、おおむねミームと意識の相互作用として説明できる。そのため、実体を持つ生成物や、それに付随する物理的影響は発生しない。
以上を踏まえ、研究チームは慎重な検証の結果、願力の導入が非幻造種の住民に可視的な影響を及ぼすものではないと判断した。また、非幻造種である千星シティの一般市民が、本エネルギーに関して追加料金を負担する必要もない。
職員ならびに市民の皆様におかれては、本資源変更について過度に懸念することなく、平常通りお過ごしいただきたい。ご不明な点がある場合は、████████████までお問い合わせください。
琥珀の王に捧ぐ
技術開発部・生命科学研究院開発チーム
※家庭内のペットに、「天井を見つめたままぼんやりする」などの異常行動が見られる場合があります。
※非エーテル原理に基づく旧式設備では、異常信号が発生する可能性があります。これらの現象は、願力放出プロセスの完了後、発生頻度が低下する見込みです。
P.S. 当チームでは現在、願力賦活員を募集しています。応募条件は、喜劇・悲劇作品への出演経験、または制作経験を有すること。希望者は技術開発部までご連絡ください。
P.S.S. 現在の千星シティにおける願力濃度は、「縁系幻造種」が誕生する水準には達していません。二相楽園および願力の性質について知識を有する住民の皆様も、過度に心配する必要はありません。詳細は添付2の補足説明をご確認ください。
添付1:都市願力濃度分布図
添付2:幻造種族図鑑