イカルンの観察レポート
奇獣の観察レポート。山羊学派の奇獣学研究の中で作成されたもので、観察対象は「イカルン」と呼ばれる、馬の体を持つ翼獣と記されている。
イカルンの観察レポート
馬身の翼獣の習性観察レポート——イカルンを例とする
研究課題:山羊学派の奇獣学系譜研究
指導教員:███ ██
観察目的
翼獣の食性や毛並みなどを長期的に観察することで、その独特な生理的構造や生活習性を深く探求し、奇獣学研究の基礎手法を把握する。また今後のエーグルの創造物に関する研究に実践的・理論的な基盤を提供する。
食性
草食性。日常的に青草、ウマゴヤシ、穀物などを食べる。特に野生のリンゴ、オリーブ、枝摘みベリーのような鮮やかな色の果実を好む。
翼獣は高度に順化されたためか、一日三食という人間に近い食習慣を維持している。
食量の観察中、イカルンは昼食の時間帯に野生のリンゴを10個摂取。さらに10個を与えたところ、ただちに完食。さらに20個を与えたところ、ただちに完食。げっぷを1回観察。さらに5個を与えたが、これもただちに完食。経費が尽きたため観察を中止した。
毛並み
全身が白い綿毛に覆われており、額と後頸部には群青色のたてがみが生えている。翼には白く長い羽毛がある。
一部の綿毛を採取して調べたところ、透明で耐火性があり、少しの時間で自然に消滅した。月光の下ではわずかに浮遊する。触感試験の記録は以下のとおり——
触れると温かく、柔らかく、まるで雲のようだ。践行の刻の休憩時にその綿毛に顔を埋めると、まるで空中を浮遊しているかのようで、あらゆる悩みが心地よく消えていくような気がした……
(コメント:ヒアシンシア君、我々は密接な観察を推奨しているが、報告にはより客観的かつ学術的な表現を用いるよう心掛けなさい。)
知性
イカルンは翼の羽ばたきで暗雲を払い、虹色に光る結界を呼び出せる。この結界は患者を治癒し、敵を封じる力を持つ。
石板や古文書を調べたところ、かつての「陽雷の騎士」の翼獣ルネビスとの類似点が確認された。彼らは同じ血統に属する可能性が高く、より密接な関係を持つとも推測される。
ややたどたどしいが、簡単な会話を交わすことはできる。語彙量はキメラよりやや少なく、およそ5歳児相当だろう。
また彼がエーグルの創造物であるためか、他のタイタンの神跡に共鳴できる。たまにドリアスと会話している。
熟睡
長時間の会話や虹色の光を放った後、イカルンは長い睡眠を必要とする。目覚めた後も、はっきりと言葉を発するまでにかなりの時間を要する。
彼が受けた祝福は不安定であり、徐々に弱まっている…エーグルがもはや天空の民を庇護していないからだろうか?
私は「あなたが元気に長生きするためにも、もうドリアスとおしゃべりしちゃダメですよ!」と言った。
彼は「プルル…プー?」と答えた。
(コメント:このような未処理のデータは付録に収めるべきであり、レポート本文には含めないこと。)