隆介作品鑑賞(上)
『星間芸術批評』に掲載された作品鑑賞文。
隆介作品鑑賞(上)
(原文は『星間芸術批評』第1728号に掲載、表紙人物、編集:鱘・A・雨上)
隆介、本名はダビデ・ファン・ホルト。惑星バーディア-Ⅱ出身。二相楽園を代表する絵師にして、絵画芸術学者、芸術評論家、教育者でもある。現在は二相楽園グラフィエ学院院長、二相楽園絵画芸術協会副会長、超常現象管理局名誉顧問、二次元シティクリエイター協会会長を務める。主な作品に『無言』『環状の嘆き』などがあり、主な著書には『絵画芸術論』『宇宙芸術史・絵画芸術編』『グラフィエ一族史研究』『銀河生物図鑑・幻造種編』などがある。
その芸術創作は、主に次の4つの段階に分けられる。
第一段階:リアリズムの時代
隆介は、古典主義的田園美学で知られる星系バーディアの出身である。ブラキ王立芸術学院の古典美術科を極めて優秀な成績で卒業し、その後3年ほど同校で教鞭を執った。この時期に「在田古典芸術基金会」をはじめとする数々の賞を受賞し、星間芸術界で最も注目を集める新星の1人となった。批評家たちは、彼の芸術の根幹がこの時期すでに現れていたと見ている——隆介は琥珀暦という大きな歴史の流れの中からあらゆるものを俯瞰し、ユートピア的ともいえる純粋さを追求することに長けていたのだ。
この時期の隆介の作品は、現実にあるものを描いた静物画や風景画、肖像画が中心だった。その確かな基礎力ゆえに、保守派の批評家からは、この時代の作品群こそが彼の最高傑作だとされている。中でも『砂の王の抜け殻』『トゥフ・β星の墜落』『鎌を持つ母の肖像』などは、バーディア・リアリズムの最高峰と称されている。
第二段階:絵画芸術の時代
隆介は客員研究員として二相楽園で研修を受けた後、その絵画芸術への愛着からグラフィ学院に入学した。そして1年も経たないうちに、幻造種の基礎的な創作技術を完全に習得した。研修を終えたあとも学院に請われて教職に留まり、さらに技術の研究を深めていった。この時期、隆介は異星出身のクリエイターとして、幻造種を現地の住民とは異なる視点で捉えていた。この頃の彼の作品は、二相楽園を代表するスターピースカンパニー統治下の現代人の精神状態を表現することに専念しており、幻造種をその写し鏡だと考えていたのだ。
代表作『牧星クラゲ』は、真空を漂う自我を持たないクラゲ型幻造種を創造することで、幻造種は都市で見かける道具や人に限らず、純粋に美と調和のためだけに存在することもできると示した作品だ。この作品は、純美の騎士団から絶賛されている。
代表作『無言』では、共感覚ビーコンを使えず言葉も話せないが、周囲の知性体の感情を感知し、自身の構造や色を変えて感情を表現できる、岩石の結晶のような幻造種を創造した。隆介は、人類文明と並行して存在しながら、人類の言語や観念に「植民地化」されない種族を生み出すことで、純粋な感情による記録とフィードバックのあり方を示し、人々に言語コミュニケーションの限界や感情の共鳴について考えてほしいと願ったのだ。しかし、これらの作品は『霊類保護法』違反の疑いで調査され、芸術界や社会全体で大きな議論を巻き起こした。