ヤヌサポリス占星術入門
ヤヌサポリスの占星術師によって書かれたもの。今日まで伝わっている占星術の入門書。運命の三タイタンの信者たちのみが閲覧を認められている。

ヤヌサポリス占星術入門

オロニクスの黙示録

序文
親愛なる信徒よ。あなたは本書を開いたこの瞬間から、運命や天機を読み解く一歩を踏み出している。永夜に包まれた世界では自らの目で星空を仰ぐことはできない。だがヤヌサポリスに伝わる占星術は、今なお我々とタイタンの意志との橋渡しをしてくれている。

真の占星術は単なる天体観測にとどまらず、世界の法則を深く理解し、タイタンたちが残した印を感知するものであると心得よ。

※不格好な筆跡で注釈が残されている。インクの色からして、ここ数年のうちに書かれたもののようだ。※
たとえ黎明のミハニの輝きの下にあってオロニクスの永夜が見えずとも、我々は永遠の都オクヘイマにおいて、計算と推測により運命の軌跡を垣間見ることができるんだ!!!

第一章:十二天宮とタイタン
占星術を学ぶ前に、十二天宮とそれに対応するタイタンについて熟知しておく必要がある。
1、黎明宮-エーグル
2、大地宮-ジョーリア
3、潮汐宮-ファジェイナ
4、知性宮-サーシス
5、全知宮-ケファレ
6、戦争宮-ニカドリー
7、永夜宮-オロニクス
8、公正宮-タレンタム
9、門径宮-ヤーヌス
10、金蝶宮-モネータ
11、詭術宮-ザグレウス
12、死亡宮-タナトス
各天宮がそれぞれ特定のタイタンの権能を司り、世界のあらゆる側面に影響を及ぼしている。占う際には、各天宮の位置とその影響力の強弱を計算し、タイタンの意志を推し量らなければならない。

第二章:占星術における計算
読者の大半は永遠の都オクヘイマの方だろう。オクヘイマは今や黎明のミハニの輝きに覆われ、目でじかに星空を観測することはできない。しかし、それで占星術が意義を失ったということにはならない。むしろ黎明のミハニの稼働法則が、新たな計算方法の土台をもたらしてくれたのだ。

占星術的な計算を行うには、まず黎明のミハニの光の変化を観察する必要がある。一日のうちに光が最も強くなる時刻と弱くなる時刻を記録すれば、そこからエーグルの権能の変化が見えてくる。これを基準にすれば、その他の天宮の位置を割り出せるのだ。

たとえば黎明のミハニの光が最も強くなる時、黎明宮は真上にある。
この時、大地宮は東、潮汐宮は西、永夜宮は真下にあり、その他の天宮は時計回りに並んでいる。

※誰かが書き入れた注釈※
黎明のミハニの光の変化…どうも分からない。それに、これが占星術って言えるのか?
この本の中身を本気にするなよ。悪知恵に長けたオロニクスの信者に騙されるな!!!

第三章:ホロスコープの作成
天宮の位置を確定させたら、次にホロスコープを作成する。ホロスコープとは円形の占星図だ。それを12等分したものの1つが、それぞれの天宮と対応している。

作り方は次の通り。
1、大きな円を描き、これを世界に見立てる。
2、円を12等分する。
3、それぞれに対応する天宮の名称とタイタンの尊号を記入する。
4、黎明のミハニの光の変化に基づいて、各天宮の位置を確定する。
5、円の中心に占いを受ける者に見立てた小さな円を描く。

ホロスコープは永久不変ではない。各天宮の位置は時の流れと共には常に変化している。そのため正確な時刻を記録することが重要になるのである。

第四章:タイタンの与える影響を読み解く
ホロスコープができたら、タイタンが我々に与える影響を解読していく。タイタンの影響力は天宮の位置と天宮同士の位置関係のおもに2つによって決まる。

【位置による影響】
-天宮の影響力が最も強くなるのは、誕生と勃興を象徴する東に位置する時である。
-真上にある天宮は影響力のピークにあることを意味している。
-西に位置する天宮の影響力は弱く、衰退を象徴する。
-最も影響力が弱いのは真下の天宮だが、真下は同時に潜伏と復活の可能性も意味している。

【位置関係】
オポジション:2つの天宮の位置の角度が180度、つまり正反対にあり、衝突と対立を意味する。
トライン:2つの天宮の角度が120度となっていること。これは調和と補完を意味する。
スクエア:2つの天宮の角度が90度となっており、緊張と挑戦を意味する。
セクスタイル:2つの天宮の角度が60度となっており、これはチャンスと潜在力を意味する。

たとえば、知性宮と戦争宮がオポジションにある場合は理性と暴力の衝突を暗示していると考えられる。また、知性宮と全知宮がトラインの状態にある場合は、知性と創生の力が調和し、共存することを意味していると考えられ、学習と探索に絶好の時であると言えるだろう。

第五章:実践と警告
この本を手にしているあなたが初学者ならば、簡単かつ日常的な占いから練習してみるといい。たとえば毎日、門の刻にその日の大まかな運勢を予測し、隠匿の刻にその占いの結果と実際に起こったことに差があるか確かめるのでもいいだろう。経験を積むうちに、より複雑な星空を読み解けるようになるはずだ。

しかし、大きな力を持つ占星術も万能ではないことを胸に刻んでおいてほしい。我々はタイタンの意志のごく一部を覗き見ることができる程度で、タイタンの意志をすべて予測することなどできないのだ。常に謙虚さを忘れず、タイタンの権威に歯向かおうなどという愚かな考えは抱かないことだ。

また、運命を完全に掌握できると喧伝するホラ吹きには注意すること。真の占星術師であれば、自身の務めが運命を読み解くことであり、操ることではないとよく理解しているのだから。

最後になったが、オロニクスの智慧があなたを導かんことを。

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