持明からの訴状
羅浮持明族龍師が六御に呈上した請願書。

(その1)

羅浮六御各位 拝啓

大乱は平定され、元凶は拿捕した。反逆者を追放した今、羅浮に再び安寧が訪れた。これは殊更に喜ばしい事である。

吾が一族は動乱の中で大きな損失を被った。負傷者、龍師 十二人、珠守り人 二百五十三人、丹士および医士 百十六人。他、災禍による入滅者 千二百八十五人、行方不明者 約三千人。

吾らは悲しみの中にいるが、責任を忘れてはいない。龍尊雨別以降、羅浮持明は「建木」を守る大任を担った。しかし、突然の災禍によって封印は崩れ、一族の精鋭を総動員しようとも、これを元に戻すことは不可能である。よって罪人丹楓を解放するよう、六御の具書を十王司に提出していただきたい。あの者の力で封印を元に戻した後、その罪を罰するよう求める。

敬具 持明龍師 遡光

……
……

「将軍様、持明の嘆願書が届きました。青鏃」
「十王司ではなく六御に嘆願書を…なるほど。十王司には相手にされないだろうから、六御に頼もうということか。将軍に着任して最初の仕事が軍とは関係のないことだとは……」