簡潔なメッセージ
意識ワープで列車を離れる前に、丹恒は車掌に短いメッセージを残した。

簡潔なメッセージ

車掌へ:

突然いなくなってしまい、申し訳ない。車掌が一生懸命俺と開拓者が乗っていた車両を探していることは承知している。

別れを告げてから行こうと思ったが、外界とオンパロス内部では時の流れに差がある、もう時間がない。

車掌の目を見た。あれはミハイルさんの話をしていた時と同じ目だ。

余計な心配をかけたくないから、このメッセージを残しておく——

必ずあの二人を無事に連れて帰る。

約束は必ず果たす。これも列車の「護衛」としての務めだ。

どのくらい時間がかかるかわからないが、心配になったらこのメッセージを見てくれ。少しは安心できるはずだ。

あいつがいたら、きっとこう言うだろう。ソーダ豆汁がまだ冷蔵庫に残ってるから、絶対諦めたりはしないと。

だから、三月が目覚めるまで、ちゃんと面倒を見てやってくれ。では。

                                                                                 丹恒