主演調整のお知らせ
ある役者に向けた、近いうちに撮影チームによる「人事調整」があることを知らせる手紙。

主演調整のお知らせ

メルゲン様

こんにちは。

あなたが『千星ワンダフルストーリー』に参加される前から、制作チームはあなたに大きな期待を寄せていました。長い歴史を持ち、多くの視聴者に愛されてきたこの定番番組に、新鮮な風を吹き込んでくださると願っていたのです。まず正直に申し上げますと、あなたが加わる以前の『千星ワンダフルストーリー』は、ちょうど短い停滞期にありました。物語が焼き直しばかりだと視聴者から指摘され、視聴率の低下に伴って、制作への投資も少しずつ縮小されていました。

本作に参加される以前、あなたにはまだ代表作と呼べるほどの作品はありませんでした。それでも、オーディションで見せてくださったユーモアと機転を高く評価し、制作チームはあなたを起用することにしました。その後の制作でも、あなたを中心に据えた展開を増やしていく予定でした。ある意味で私たちは、あなたを『千星ワンダフルストーリー』を離れても強い集客力を持つ映像界の新星へと育てたいと考えていました。そして、あなた自身の魅力が、制作チーム全体にも良い影響をもたらしてくれることを期待していたのです。

監督陣の見解としては、あなたには優れた容姿と確かな演技の基礎があり、足りないのは少しの経験と、いわゆる「華」だけということでした。

しかしながら、番組の収録と放送が正式に始まって以降、あなたのご出演について、制作チーム全体が判断に悩む状況となりました。どう申し上げるべきでしょうか。カメラの前ではどうしても硬さが抜けず、演技にも自然さが足りません。全体として、どこか窮屈に見えてしまうのです。そうした要素が重なった結果、非常に厳しい数字が出ています。番組運営側のデータによれば、あなたが主役を務める単話エピソードの視聴率は、他の主演と比べて36.9%低いという結果でした。

制作チームとしても、もちろんあなたにもっと学びと調整の機会を差し上げたいと考えていました。ですが、時間的コストと視聴率目標は、制作チーム全体の頭上に吊るされたダモクレスの剣です。監督、脚本、撮影、編集…あなたも私も含め、誰もが『千星ワンダフルストーリー』のために200%の力を注いでいます。それでも、あまりに低い視聴率は、制作チーム全体の努力を水の泡にしてしまうのです……

あなたのためにも、そして制作チーム全員のためにも、監督陣と5時間にわたる協議を重ねた末、私たちはこの苦しい決断を下さざるを得ませんでした。『千星ワンダフルストーリー』のタレントマネジメント担当として、大変申し訳ありませんが、あなたの演じる「メルゲン」は、『千星ワンダフルストーリー』シーズン4第396話をもって正式にクランクアップとなります。つまり、来週の収録があなたにとって最後の出演となります。

どうか気持ちを整え、できる限り美しい幕引きをお見せいただければと思います。

制作チーム一同、これまでのご尽力に感謝しています。また、他の撮影チームへの異動機会もご用意できます。ご希望がありましたら、履歴書とポートフォリオを私の個人メールアドレスまでお送りください。

最後に、これだけは個人の立場でお伝えします。たとえ『千星ワンダフルストーリー』でのあなたの役が終わったとしても、それはこれからあなたが主役になるすべての可能性が閉ざされたことを意味しません。自分の人生という舞台の上では、誰もが永遠に主役なのですから。

ムルソー
『千星ワンダフルストーリー』タレントマネジメント