人型古獣B-H-001実験記録
アポリが人型古獣を対象に行った実験の報告書。生研院における古獣源質実験の一端が記されている。

人型古獣B-H-001実験記録

残された実験記録ファイル。生研院での古獣源質実験の一端が記されている。

実験対象:「人型古獣の末裔B-H-001」

実験対象の来歴および概要:
実験体B-H-001は、ギンヌンガガプ深域で偶然捕獲された、初の人型古獣の末裔である。体内の源質およびDNA配列は、古獣の遺骸から採取した抽出物と極めて高い一致率を示している。身長19.82m、性別不明。直立歩行し、簡単な意思疎通が可能。評価の結果、生研院で古獣の源質および進化擬態の研究に使用することを許可。最終「耐性実験」の第2189号材料に指定する。

実験上の注意事項:
(1)B-H-001は実験に非協力的で、攻撃性が高い。今後の実験では必ず厳重に拘束すること。
(2)一般研究員はB-H-001との会話を禁ずる。
(3)実験体B-H-001は極めて貴重である。最終「耐性実験」を終えるまでは、爬虫類脳や潜鰓などの重要な器官の損傷を極力避け、四肢も可能な限り損なわないこと。

実験1:源質抽出活性化実験

実験内容:B-H-001の脊柱に沿って体内の源質を抽出し、生体プロセッサーへ注入する。

実験記録:被験体の肉塊化は想定していた速度より遅かった。被験者の57.3%で、脳神経が著しく活性化したことが確認された。被験体の死亡後も、頭蓋内から活性を保った嚢胞が発見された。

結論:古獣の末裔が体内に有する源質の濃度は想定を大きく下回る。古獣原形質注射用の安定剤として使用することができる。

実験2:古獣の末裔への「豊穣」の血肉接種実験

実験内容:B-H-001と他の被験体に、不活化した「豊穣」の血肉を少量接種する。

実験記録:他の被験体と比較し、B-H-001は「豊穣」の血肉による侵蝕が明らかに速かった。実験開始からわずか3分後、研究員は実験を打ち切り、感染組織を切除した。

結論:古獣の末裔は「豊穣」の血肉と高い親和性を持ち、非常に優れた融合材料および実験基材としての素質を持つ。

……

実験██:古獣遺骸原形質耐性実験

実験内容:被験体に、活性状態の「豊穣」の血肉と、遺伝情報活性を持つ古獣原形質を順番に注入する。

実験記録:
12:32:04 活性状態の「豊穣」の血肉を注入。
12:32:09 古獣原形質を注入。
12:32:13 B-H-001が激しい抵抗を見せる。神経活性が急激に上昇。意思の疎通、不能。
12:32:15 鎮静剤を注入。
12:32:18 B-H-001の抵抗が止まる。四肢に肉塊化の兆候が表れた。神経活動は高頻度のまま安定。
12:32:20 B-H-001にうわごとを伴う発作が発現。意思の疎通、不能。
12:32:21 B-H-001が完全に肉塊化。
……
13:46:27 B-H-001が変異した肉塊の死亡を確認。

実験終了。今回の実験では、読み取り可能な意識を3.82秒出力することに成功した。

結論:出力内容に古獣に関する知識は一切含まれていない。実験は失敗に終わった。

B-H-001は標本として回収済み。実験材料としての価値はほとんど残っていない。
良質な被験体となる「人型古獣の個体群」を新たな捕獲対象に指定した。B-H-001をさらに確保する必要がある。

実験責任者署名:███