オンパロスの暦法
オンパロス独自の暦。長らく存在した12の月と、それぞれの月に人々が従事する仕事が記されている。オクヘイマ市民の生産活動や日常生活における重要な指針となっている。

月編

我々に暦法を授けしケファレをたえず心に刻め。彼は今なお、黎明を背負っている。

命運季
1月・門関の月
代表タイタン:「万路の門」ヤーヌス
古いものと別れを告げ、新しいものを迎え入れる最初の月で、ヤーヌスは過去を象徴する古い門を閉じ、未来を象徴する新しい門を開く。ヤーヌスは門であり、門を守る鎖でもある。前と後ろは、鋭い斧で切り分けられたかのようにはっきりと分かれる。

この月、人々は自らの意志で、自身を束縛する物(たとえば昔の恋人や亡くなった身内の遺品など)を捨て去ることで、過去に別れを告げ、未来に向き合うことを宣言する。

2月・平衡の月
タイタン:公正の秤、タレンタム
最も規則正しい月。ケファレはこの月を測って、月日というものを定めた。人々は規則正しく生活し、心も穏やかになるため、裁決を下したり、契約を交わすのに適している。

かつて昼と夜が分かれていた時代、平衡の月は一年で唯一、昼と夜の長さが等しい月だった。タレンタムがオロニクスとエーグルの争いを仲裁したため、そのようになったと言われている。

3月・長夜の月
タイタン:永夜の帳、オロニクス
太陽の光がいつもよりもやや暗い月。普段よりも眠気を感じやすくなり、直感と感性が思考と理性に取って代わるので、細心の注意を必要とする作業には向かない。
この月の夜が長かったのは、天空の所有権をめぐるオロニクスとエーグルの争いにオロニクスが勝ったためと言われている。

支柱季
4月・栽培の月
代表タイタン:「堅磐の脊髄」ジョーリア
春の耕作が始まる月で、最も忙しい月でもある。この月では、大地が種まきに最も適した状態まで回復し、人々は土を耕し種をまき、労働を大地に捧げる。大地獣たちがいつもより元気になる月でもある。

5月・歓喜の月
タイタン:満たされた杯、ファジェイナ
春の耕作が終わる月。泉から水が流れ出し、漁が盛んになる。一年で最も忙しい月が終わり、人々は喜びの雰囲気に浸る。醸造や祭典に最も適した月である。人々は目が覚めても、眠い目をこすり、二度寝を楽しむ。

6月・昼長の月
タイタン:晨昏の目、エーグル
最も熱気のある月。黎明のミハニは普段よりも輝きを増す。大地の植物も懸命にそのエネルギーを取り込み、後に人々の収穫物となる。この光を浴びると情熱に満ち溢れ、活力がみなぎる。
この月の昼が夜より長かったのは、天空の所有権争いでエーグルがオロニクスに勝ったからだと言われている。

創生季
7月・自由の月
代表タイタン:「万象の座」ケファレ
穏やかで平和な月。参加すべき大事な祭りも、やらなければならない大事なこともない。この月では、人々は趣味に没頭したり夢を追いかけたりして、やりたいことを自由にできる。ちょうどケファレが世界を創造し、その庭で人々が自由に遊ぶことを許したように。

8月・収穫の月
タイタン:分裂する枝、サーシス
秋になり、収穫を始める月。作物は昼長の月の光を吸収し、最も熟した状態へと変化する。栽培の月と同様にことのほか忙しい月である。

9月・拾綫の月
タイタン:黄金の繭、モネータ
秋の収穫が終わりを迎える月。人々は1年の歩みを振り返る。モネータはこの月にあらゆるものをかき集めて、記憶の金糸にする。家族と共に愛と美しい日々を分かち合う月である。時間の余裕のある者は家で機織りをする。紡績に関する祝祭日があるのもこの月である。

災厄季
10月・紛争の月
代表タイタン:「天罰の矛」ニカドリー
生産活動がすべて終わってからの最初の月。人々は1年の中で最も重要な労働から解放され、余分な労働力が生まれる。かつては、各都市国家がこの月に戦争を約束することが多かったという。また、この月は囚人を処刑し、神々への奉納として供物を燃やす時期でもある。

11月・慰霊の月
代表タイタン:「暗澹たる手」タナトス
都市国家が徐々に静寂に戻る月。通常、戦争はこの月で終息に向かう。人々は戦場から遺体を運び、死者を埋葬して生き残った者を慰める。司祭は死者のために祈りを捧げるのが務めの1つであるため、この月で最も忙しくなる。この月では、殺伐とした空気が漂い、人々は眠りに入るかのように徐々に活動を減らしていく。

12月・機縁の月
タイタン:飛翔する幣、ザグレウス
一年で最後の月。先月静まり返っていた生き物が再び活動的になり、いいことも悪いこともより頻繁に起こるようになる。博徒は幸運を呼び込める月と信じ、投機商人は一攫千金に憧れる。泥棒もこの月までに蓄えが底をついていることも多く、次の盗みの機会を今か今かと待っている。機縁の月は治安が最も不安定になる月である。

ザグレウスの性格は掴みがたく、ひと月の日数が定まっていない。時々、次の月がやって来ると思って暦をめくると、幽霊のように「閏日」が現われることがある。そのような1日がある機縁の月を「赤の月」といい、無ければ「金の月」と呼ぶ。博徒や泥棒たちはこの日を開運日と見なし、ひときわ大胆な行動に出る。そのため、暗殺や陰謀が多く行われるのはこの日である。