樹庭の植物に関するガイド石版抜粋
樹庭に生えている植物を紹介するパンフレット。なぜか観光ガイドの形式で書かれている。

樹庭の植物に関するガイド石版抜粋

注意事項:
物思いの伝道を進みながら見学してください。一部の植物はナイーブなので、一つの場所に長く滞在しないでください。
特別な注意書きがない限り、園内の植物には決して触れないでください(自分のためにも好奇心を抑えましょう)
古き詩の植物エリアと永夜の植物エリアでエンドモを見つけても気にしないでください。害はありません。
異典の植物エリアでエンドモを見つけた場合は、外へ連れだしてください。

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永夜の植物エリア
 辺境の植物に憧れはあるけど、暗黒の潮のせいで探しに行けないと悩んでいませんか? そんな人には、蓮食学派の学者とオロニクスの司祭が共同開発した「永夜の帳の温室」がおすすめです。ここでは一日中「人工暗源」が設置されており、黎明のミハニの光ですら遮断します。
この植物エリアで見るべき品種は以下の通りです。

刀芒草
クレムノスへの旅路に生えるトゲを持つ植物です。クレムノスのメーレが土壌に染みこんでいるときにだけ生えてきます。そのユニークな生態と神秘性によって樹庭の学者を魅了しています。
名前は草となっていますが、その葉はとても大きく、非常に鋭いです。サーシスの司祭による祝福を受けると、葉が硬さとある程度の弾力を帯びるようになるので、衛兵たちの予備の武器として使うことも可能です。

ラードーンの雨
ラードーン特産のコバルトブルーの結晶状ベリーで、「オロニクスの涙」とも呼ばれています。かつてはラードーン人の主食の一つでしたが、紛争と暗黒の潮の到来でその生育環境がすべて破壊され、今ではここにしか残っていません。
雨が降って大地を潤すとき、ラードーンの雨は一面に咲き誇ります。「タイタンの涙がこの果実を育んだが、果実はタイタンにさらなる悲しみをもたらした」と言われています。

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生命の種子エリア
ここにある植物は自然のものではなく、生命情報の集積です。詳しく知りたければ、お近くの学者にお尋ねください。
責任者と共にオクヘイマへ移送済み。


古き詩の植物エリア
樹庭の学者たちは少なからずある疑念を抱いています。それは、タイタンの伝説で語られる植物の一部は本当には存在せず、祭礼や哲学書の中で作りあげられた架空のものなのではないかというものです。
この植物エリアは、そうした疑問を払拭、あるいは確信させるための場所です。
※一部の品種は蓮食学派が人工交配によって作り出したもので、伝説で語られている姿を再現することを目的としています。
この植物エリアで見るべき品種は以下の通りです。

ピンクゴールドローズ
たしかに花はロマンチックな物語で最もよく登場する脇役ですが、ピンクゴールドローズを恋愛の贈り物として描こうとする人はまずいません。知ってのとおり、ケファレが世界を創造して以来、この花はタナトスの視線が注がれ続けているからです。
言い伝えによれば、タナトスは自らの領域内で愛する相手を黄金色の花畑に寝かせるとされています。一枚一枚の花びらには、紛争の中で死んだ魂が宿っているため、とても食いしん坊なクモヒツジですら見向きもしません。
樹庭の学者たちはこの手がかりをもとに、この植物の源を探り、ついに目にしたのがこのピンクゴールドのバラだったのです。美しくてトゲが多いのですが、どうやらクモヒツジが避ける真の理由はそのトゲにあったようです。

石の木
民間に伝わる話によると、ジョーリアが山の民を創造したときに使ったのは土ではなく、石の木の硬い幹だったそうです。これは荒唐無稽な作り話ですが、山の民に伝わった後、かえって彼らに親近感を抱かせたらしく、オクヘイマでは今日でも多くの衛兵が石の木で作った装備を使いたがっています。
樹庭では直接触れることが許されている数少ない植物の一つです。手で触り、大地という名の頑丈さを感じてみてください。

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異典の植物エリア
普通、花をガラスで覆うのは外界から守るためですが、樹庭では逆に外界を守るためなのです。この植物エリアを散策する際は、そのことを忘れないようにしてください。

夜冥キノコ
サーシスの意図せぬ創造物であり、ザグレウスのお気に入りのオモチャと言われています。誰もその姿を説明できないのは、それがあらゆる視線を呑み込んでしまうからです。もしオクヘイマの外で地面にブラックホールのようなものがあるのを見かけても、不思議に思う必要はありません。それはまた別の夜冥キノコが開花しているだけです。
樹庭の中は言うまでもありませんが、もし野生の夜冥キノコを発見したとしても絶対に、絶対に触ってはいけません——タナトスに早く会いたいのであれば話は別ですが。

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