キャラLv.20で解放
番号:AVE-1
時間:██████
内容:
今回の依頼はおそらく、俺の探偵人生で受けてきたものの中で最も興味深い事案だと言えそうだ。なにしろ依頼人の望みは、かの十の石心の一人、「アベンチュリン」の弱点を暴いてくれ、だからな。
この難題の答えを得るためにも、この記録では映像監視、データ傍受、現地取材、残影再現など、あらゆる手段を駆使してターゲットの情報を分析していくつもりだ。
今回の調査における最初の目的地は、パブ「ワールドエンド」だ。あそこじゃ今も、カカワーシャの伝説が語り継がれているらしいからな。
「えっ、彼の話を聞きに来たのか?ここ最近だけでも、それを聞きたがったのはあんたでもう
20人目だ!」
それなりに骨が折れるだろうと覚悟していたが、パブに着くなり、愚者たちはこの話にわらわらと群がってきた。
「エヴィキン人?ああ、たしかに1人いたよ!ずいぶん美味そうな見た目だったっけな。でもおれはそいつに売られたんだ。畜生、あのエヴィキン野郎め!!!!」
大男は派手なゲップのあとに顔の傷跡を指さし、行き場のない怒りを拳に預けてテーブルに叩きつけた。
「あの方ですか、フフッ。彼がいなければ、ここで借金返済のためにバーテンダーをする日々からはとっくにおさらばしてたはずなんですけどね……」
バーテンダーは恨めし気な顔で手元のジョッキをひと息にあおり、昔話をしながら思わずといった様子で目を潤ませた。
「あの男は、たしかカンパニーから来たとかって大物と賭けをしてたな。それ以来、パブでカカワーシャの姿を見たやつはいない。あんなに見事な勝負を見たのは、後にも先にもあの時だけさ。まるでアッハが乗り移ったかのような強運と、命知らずとしか思えないプレイスタイルだったよ!」※注①
……
愚者の語ることだ、話半分どころか3割も信じてやれば十分だろう。
ひとまず事実と思われる部分を整理してみよう。身寄りのないエヴィキン人の若造がパブへ運試しにやってきて、あっという間に愚者たちを手玉に取ってみせた——
この手の人間は一見、自分の身に起こるあれこれに関心がないように見えて、その実不幸な過去に由来するトラウマや満たされない渇望を抱えているものだ。
大多数のギャンブラーが勝利することに愉悦を見出しているとして、では彼は?彼はその勝負からどのような愉悦を見出している?計算通りに事が運ぶ達成感?それともイタズラの成功を喜んでいるとか?
いいや、そのどれでもない。
それらの表面的な楽しみは、そう見えるよう彼が念入りに仕掛けた偽装だろう。
そうでなければ、彼が愉悦の誘いを断る理由がない。そんな愉悦が好みなら、仮面の愚者として振舞うことを選んだほうがいいはずだ。
全世界が、盤上における彼のパフォーマンスに釘付けにされている時、テーブルの下でその拳はきっと震えているに違いないと、俺はそう思う。
ますます楽しみになってきたよ、アベンチュリン。そうとも、これは勝負だ。お前が深い場所に仕舞い込んだ真実と仮面、そいつを俺が暴けるかどうか、試してみようじゃないか。
注①:
「パブ」に滞在しているカンパニーの大物とアベンチュリンのそりが合わないと聞いて、彼に協力を持ち掛けてみたが…残念ながら返事はなかった。
——記録をクライアント端末と同期しました