「ヒアンシーちゃん、一緒に新ちくオープンちたバルネアに行ってみない?」
少女はオクヘイマでの診療を終えた後、好奇心旺盛な子供のように次々とピュエロスを試して回った。
「フルーツジュースのマッサージ、試してみませんか?」
真っ赤に染まった両手を見た少女は、イカルンを抱きしめながら後ずさった――
「わたしはやっぱり…飲むほうが好きですね……」
「大地獣の背中ふみふみマッサージ、割引中だよ!」
大地獣は頭を下げ、その鼻息で少女の髪を揺らした。
「ま…また今度にします!」
「薬草のピュエロスなので健康に良いですよ。何名様でご利用になられますか?」
香ばしい薬草の匂いを嗅ぎながら、少女はゆっくりと中に入ってみた。
「あ…すごく健康に良さそうです……」
「ブル、プー!」
イカルンも嬉しそうに泳いでいる。
「ここ数日でかなり疲れが溜まってたみたいですね……」
この貴重な休日に、少女はブドウジュースを飲みながら、赤毛の女の子と「ぐっすり眠るコツ」や、「スイーツ作りの秘訣」などを思う存分話し合った。
「大変、イ…イカルン!」
その時、少女の叫び声がバルネアの静寂を破った。
「ブルル……」
「イカルン、しっかり!」