街の上空——転送ゲートから少女の影が鮮やかに躍り出た。
絶え間なく行き交う車と人の波、その喧騒は相変わらずだ。
「たしかに賑やかだけど——」
目の前のスクリーンが輝き、人々の喜怒哀楽が光の粒となって流れ込んでいく。
「あーあ、NPCまで疲労値がカンスト寸前じゃん……」
「こんな退屈なステージ、パスしたいんだけど」
指先の動きに合わせて、街の灯りがちらちらと瞬く。
誰も知らない街の片隅から驚きの声が上がり、やがて歓声が空を震わせた。
「全プレイヤーの運のステータスを2倍にして、特別天賦はランダム、報酬はマックスっと…」
「ロード完了!さあ、ゲームに飛び込もう!」
少女が飛び降りると、その耳元に聞 き慣れた通知音が響き渡る。
彼女だけのゲームが、いま始まった。