コロシアムの優勝者に与えられる月桂冠。金色の月桂樹の葉の一枚一枚が、勇気と栄光に輝いている。
オロニクスが嘆息すると、時間がゆっくりと流れてい くようだった。耳には重い息遣いが届き、肋骨が痛みで鼓動する。まるで闘技場の空気をすべて肺に取り込もうとしているかのようだ。汗と血が混ざり合って流れ落ち、足元の大地からは誘惑する声が聞こえる——ここまで頑張ったのだから、もう諦めていい——彼の疲労はすでに限界に達していた。
「次の攻撃はどこから来る?左か、右か?フェイントもある、それとも……」
槍先がすでに迫っており、もはや考える時間はない。ならばいっそのこと、「紛争」のタイタンに運命を委ねてしまおう——彼がすべきなのはただ槍を突き出すことだけだ。
砂埃がゆっくりと収まっていく。闘技場の外から斜陽が差し込み、彼の横顔を照らした。観客席の人々は次々と立ち上がり、拍手と歓声が波涛のように押し寄せてくる。その瞬間、彼は驚いた——この場所がこんなにも広大であったこと、逃げ場のない緊迫感がとうに消えていたことに気づいたからだ。場内には血の跡と倒れた相手、そして輝く孤高の勝者だけが残っていた。
城主は手を高く上げ、彼の優勝を宣言した。そして彼はダウリの音が鳴り響く中で月桂冠を戴き、闘技場の伝説となったのだ。
「お前は近衛兵に選ばれた。お前の名は勝利と共に、英雄の叙事詩に記されるであろう!」
その後、彼の名は街中で聞こえるようになった。ニカドリーの栄光はまるで世界が彼のために存在しているかのように、彼を包み込んだ。